sweet voice
運命的な出会いなんて、現実にはないと思ってた。


伸二くんと出会った合コンだって、運命と言われればそうかもしれないけど。


荒井さんは、私が気づかないうちに私の存在を知っていて。


私は、荒井さんの電話の声にときめいて。


声が気になって、会えたらイケメンで、食事をしたら細かい一致がうれしくて。


そんなトキメキを知ったのも、荒井さんの電話を偶然とったから。


声をキッカケに、誰かを好きになるなんて。


もしかしたら『運命の出会い』かも、って勘違いしたこともあったけど。


荒井さんにとっての私は、そこまでの相手じゃなかったみたい。


どうしてこの結論を導き出したのかというと、今日の午前中、荒井さんからの外線を会社で受けた時。


「はい、白戸商事でございます」


『いつもお世話になっております、カルディナルビバレッジの荒井と申します』


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