sweet voice
「もうしばらく、恋愛はいいや」


「ちょっとー、オバサンみたいな発言やめてよ。


花音はかわいいし、もったいないって」


「それはどうも」


荒井さんの電話での態度が決定打になって、私は意気消沈していた。



そのまま何事もなく日々は過ぎていった。


12月に入ったとたん慌ただしくなり、バタバタしていた金曜日、デスクの内線が鳴った。


部長からだ、何だろ。


「はい、藤原です」


『佐伯だが、藤原は今夜予定あるか?』


「いえ、ありません」


『それは良かった、じゃあ夜打ち合わせな』


「わかりました、何時にどちらですか」


『18時にエントランスで頼むよ』


「はい」


『篠原のピンチヒッターよろしくな』


篠原さんは私の後輩で、今日は風邪で休んでいた。


昨日から咳こんでて、ツラそうだったもんな。


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