sweet voice
18時5分前にエントランスへおりると、もう部長は待っていた。


「お待たせして申し訳ありません」


「いや、俺が出先から早く戻ってきただけだから。


じゃあ、銀座へ向かうぞ」


品川駅まで歩きながら、部長に聞いてみた。


「ところで、今日はどちらの取引先と打ち合わせですか?」


「そういえば言ってなかったな、カルディナルビバレッジさんだけど」


「えっ!」


私が急に大声出したので、部長はのけぞるほど驚いた。


「どうしたんだよ、藤原らしくないな」


「す、すみません。


ちなみに、どなたがいらっしゃるんでしょうか」


荒井さんが来なければいいだけだし。


「あー、先方は部長と荒井課長だ」


・・・最悪だ。


「どうかしたのか?


あ、これ資料だから、目を通しとけ」


「は、はい」


逃げられないことを悟った私は、おとなしくしていようと決意するしかなかった。


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