sweet voice
「藤原、どうしたんだ」


「い、いえ、なんでもありません、申し訳ありませんでした」


私のとんでもない発言をかばうかのように、荒井さんは話し始めた。


「大阪本社ではマーケティング部門を担当することになりますので、今後ともよろしくお願いいたします」


「そうですか、荒井課長がいらっしゃらないと寂しくなりますが、ご活躍をお祈りしています」


「年明けにあらためて、新しい担当者とご挨拶にうかがいます」


「お待ちしてます」


「そうだ佐伯部長、先日のゴルフの件だけどね」


「その節はお世話になりました、またご一緒させてください」


「もういいよ佐伯、無礼講でいこうじゃないか」


「そう言われましても、先輩は先輩ですからね」


「俺たち、同じ大学の先輩後輩なんだよ」


「そうなんですか」


突然部長に話をふられ、それからはオジサン二人の話が永遠に続いた。




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