sweet voice
デザートが運ばれ、話も一段落し、ようやくお開きになった。


これじゃあ、単なる飲み会じゃないか。


荒井さんと二人だったら、楽しかったのにな。


・・・こんなことが浮かんでくるなんて、相当酔ってるのか私は。


お店を出ると、夜風が冷たくて身震いした。


「俺たちは行きつけのスナック行くけど、藤原たちはどうする?」


「私はここで失礼します」


「では、僕もここで」


「おう、お疲れさま」


「失礼します」


部長たちは、楽しそうに目的のスナックへ歩いて行った。


荒井さんと二人で取り残されたけど、なぜかホッとした。


「じゃあ、帰るか」


・・・もう一軒、誘ってくれるかと思ったのにな。


私を見ることもなく、歩き始めていく荒井さんの背中を見ていたら、このまま離れていってしまう気がした。


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