sweet voice
「そろそろ帰るか」


「・・・はい」


また、はぐらかされちゃったな。


肝心なとこは言わない主義なんだ、きっと。


外に出ると、冷たい風が吹いてきて反射的に目を閉じた。


その瞬間を待っていたかのように。


荒井さんは、私にキスしてきた。


「えっ?」


驚いて目を見開いた私に、


「一生、俺のそばにいろよ」


大好きな声で、言ってくれたんだ。


「今のって、もしかして・・・」


「ほら、行くぞ」


いつのまにか荒井さんが停めたタクシーに乗り、荒井さんの部屋に入り、強引にベッドまで連れてこられた。


少し乱暴だけど、強引に連れ去ってほしいと心の片隅で思っていた私は、荒井さんの肌にふれただけで心臓がバクバクした。


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