sweet voice
「伸二くん、離して」


「ダメ、もう少し」


「お願い、離してくれないと・・・」


「離したら、僕を選んでくれる?」


何も言えなかった。


選ぶ権利なんて、私にはない気がするから。


「意地悪しすぎちゃったな」


ごめんごめん、と言いながら、甘いキスをひとつ落として、伸二くんはシャワーを浴びに行った。


どうしよう。


もう荒井さんの顔、まともに見られないよ。


二人であわてて身支度を整えて、部屋を出た。


伸二くんは会社に着替え一式置いてあるっていうから、途中まで一緒に通勤した。


「なんかさ、新婚ホヤホヤの気分。


そうだ、時間あるならカフェ寄らない?」


確かに、お腹はすいている。


「じゃ、品川で行こう」


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