sweet voice
駅ナカのカフェは、窓際のカウンター席しかあいてなくて、伸二くんと並んで座った。


まだ8時過ぎだけど、目の前はものすごい数の人の波だ。


広い通路を、ほぼ同じ方向へ歩いていく、たくさんの人。


私もいつも、あの波にのってあんな風に歩いてるんだな。


「そうだ、昨日の食事代いくらだった?」


「えーっと、いくらだったかな」


「あっ、クリスマスパーティーの会費と相殺でもいい?


そしたら、花音さん来てくれるでしょ」


「えっ・・・まぁ、それでもいいけど」


「じゃ、参加決定ね。


そうだ、僕って寝言とかしゃべってた?」


「あー、私のこと呼び捨てにしてたよ」


「本当にごめん、でも、僕の中ではずっと前から呼び捨てにしてたから。


これからは、『かのん』って呼んでもいい?」


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