sweet voice
ワリカンにしようって言ったけど、迷惑かけたからってカフェ代はおごってくれた。


「じゃ、クリスマスに待ってる」


「いってらっしゃい、気をつけてね」


「ありがと、花音」


自信に満ちあふれているのか、少したくましくなった背中は、あっという間に見えなくなった。


会社に着くと、エントランスで茜が待ち構えていた。


「花音ちゃーん、いったいどういうことなのかしら?」


「今夜、詳しく説明させていただきます」


仕事に身が入るはずもなく、予想通り残業になり、行きつけの居酒屋で30分くらい茜を待たせてしまった。


「茜、待たせてごめん」


「いいよ、どうせ仕事どころじゃなかったんでしょ」


ビールを頼み、なんとなく乾杯して、昨日のことを全部白状した。


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