sweet voice
「あのね、伸二くん。


私のワガママだけど、この前のことはなかったことにしてほしいの」


伸二くんは、悲しそうな顔で黙ったままでいた。


「荒井さんのことが、好きなの。


でも、荒井さんは大阪へ異動しちゃうし、私はどうしたらいいのか、どうしたいのか、わからなくなって、不安でさみしくて、それで伸二くんに甘えちゃった」


その時、私のスマホが鳴った。


「電話でしょ、出ていいよ」


「ごめん」


・・・荒井さんからの着信だった。


「も、もしもし」


『花音、今日はごめんな。


あれ、もしかして外?』


「あ、えっと、友達がクリスマスパーティーに誘ってくれて、今その会場にいるんだ」


『そっか、気をつけて帰れよ。


あっ、28日には東京へ戻るから』


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