sweet voice
その時、伸二くんが信じられないことをした。


「花音、この前みたいにふたりっきりになろうよ」


明らかに、荒井さんにも聞こえるように、大きな声でしゃべったんだ。


『花音、どういうことだよ?』


荒井さんが私に問いかけるのと、


「変なこと言わないで、伸二くん」


私が伸二くんに詰め寄るのが、シンクロしてしまった。


『そういうことかよ』


荒井さんは、一言だけ告げると、電話を切った。


その後は、何度かけ直しても、メッセージを送っても、つながらなかった。


「ニューヨークにすぐ来なくてもいいよ。


花音が、僕を選んでくれるなら、僕は待ってるから。


僕は本気で花音が好きだから、荒井さんから花音を奪ってみせるよ」


現実が受け入れなくてボーッとしてる私に、伸二くんは優しくキスをした。


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