sweet voice
その時、彰太のスマホが鳴った。


「わりー、嫁さんから」


「愛されてんね、彰太」


「うるせーな、ちょっと外すわ」


彰太が個室の外へ出ていった。


茜と噂話の続きをしながら飲んでたけど、彰太はなかなか戻ってこなかった。


「彰太、遅いね」


「奥さんに怒られてたりして」


今度は、茜のスマホが鳴った。


「花音ごめーん、彼から」


「はいはい、どうぞごゆっくり」


茜は、ウキウキしながら出ていった。


あーあ、結局一人ぼっちは私だけか。


わかってたけど、やっぱさみしい。


もうすぐ春だし、桜も咲くし、新しい出会いがあればいいんだけど。


もうしばらくは、恋愛はいいかな。


でも、そんな悠長なこと言える年齢じゃないし。


< 180 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop