sweet voice
「そうですね」


ほんと、どこまでも健全というか、デートのモデルコースをたどっているというか。


内川さんは、とにかく『いい人』、ってことがよくわかった。


レストランを出たのは15時過ぎで、かれこれ5時間くらい内川さんと一緒にいることになる。


一緒にいて不快な気持ちになったことはないし、学歴も勤務先も申し分ない。


だけど、私からハマってしまうようなことはなさそうな感じがする。


隣を歩いている今も、まったく緊張していないし。



「藤原さん、この前の返事を聞かせてもらってもいいですか?」


都心にある広い公園のベンチに座ったとたん、直球がきた。


困ったな、どう言って断ろう。


戸惑っているのが顔に出ていたのか、


「いい返事じゃなさそうですね」


ものすごく悲しそうな顔で、内川さんはつぶやいた。

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