sweet voice
伸二くんの、この笑顔に弱いんだよな。


年下の武器を、惜しみなく使ってる。


「コーヒーだけだよ」


「やった、おごるよ」


二人で、どこにでもあるチェーン店に入った。


まわりから見たら、私たちは恋人同士にうつるんだろうか。


「花音さん、荒井さんとうまくいってる?」


しばらく話したあと、伸二くんは直球を投げてきた。


「えっ、う、うん、もちろん」


「嘘が下手だね」


「・・・嘘じゃないよ」


「花音さんがそんなんじゃ、納得できないじゃん」


「別に、伸二くんに納得してもらわなくたっていいし」


「ふーん、でもさ、一番納得してないのは花音さんなんじゃないの?」


・・・図星だ。


この、荒井さんとのうやむやな関係を打破したいって思ってはいるけど、思っているだけで何もできないでいるから。


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