sweet voice
「お待たせ、どこ行く?」


お財布とスマホとタオルだけ入ってるミニバッグを手に持って、茜に声をかけた。


「そうだな・・・カッペリーニは?


今日めっちゃ暑いし」


「いいね、行こ行こ」


私と茜は、エレベーターに乗って1階エントランスまで降りていく。


うちの会社は品川にあるから、まわりには目移りするほど何でもありすぎる。


ランチできるお店なんて、数えきれないほどあるのに。


目当てのイタリアンに入って席についたら、隣のテーブルに営業部の川野彰太(かわのしょうた)がいた。


「よお花音、久しぶりだな」


「・・・ひさしぶり」


「会議で東京に来たんだ、知ってるだろ?」


「うん、まあ、一応?」


「なんだよ、元カレが来るから小綺麗にしなきゃ、とかはねーのかよ」


「あるわけないじゃん」


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