sweet voice
「目つぶれ」


「えっ・・・うん」


拓海は、私の両手を握ると、右手だけ離した。


左手に、冷たくて固い感触を感じた。


「花音、結婚しよう」


そっと目を開けると、左手薬指に指輪がはめられていた。


信じられなかった。


まさか、今日プロポーズされるなんて。


「ありがとう」


そう答えて、うなずくのが精一杯だった。


「なんだよ、その顔」


いつのまにか、涙が流れていた。


「わ、わかんない、けど・・・嬉しいのは本当だから」


「そういう、感情が素直に顔に出るとこが、かわいいよな」


「な、なんで、そういうストレートなこと、言うかな?」


「なんだよ、素直に言いたいことを言ってるだけだろ」


「どんな顔していいのか、わかんないじゃん」


「そのまんまでいいんだよ、花音は」


< 205 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop