sweet voice
拓海は、車でいろいろ案内してくれた。


信じられないけど、東京から大阪まで一人で運転して車を運んだらしい。


「私も一緒に、東京から大阪までドライブしたかったな」


「俺もそう思ってたけど、花音は一方的に離れていったからな」


しまった、墓穴ほった。


「ごめん」


「残念だったな」


ニヤニヤしながらハンドル握ってる横顔を見てたら、もっと助手席に乗っていたくなった。


あと数時間で、離ればなれになってしまう。


何かしゃべっていないと泣いてしまいそうで、私はくだらないことをずっと話し続けた。


「着いたぞ」


拓海が車を停めたのは、大きな家の目の前だった。


「ここ、どこ?」


「俺んち」


「え、えーっ!!!」


口をポカーンと開けている私の手を引いて、拓海は実家へ入っていった。


< 207 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop