sweet voice
新大阪駅で別れる時は、やっぱりせつなかった。


「じゃあ、体に気をつけてね」


「花音も、あんま飲みすぎんなよ」


発車のベルが、二人の間に鳴り響いた。


拓海はそのベルが合図になったみたいに、私を抱き寄せて、そっとキスした。


「もう、恥ずかしいよ」


「ま、こういうのも、遠距離ならではだろ?」


「じゃあ、またね」


「気をつけて帰れよ」


小さくなっていく姿に、手を振り続けた。



翌日、出勤した私は、東京にいる佐伯部長に電話した。


「部長、今年で退職させていただきます」


ちょっとした雑談のあとに突然言ったから、かなり驚いてた。


『藤原、本気か?』


「はい」


『藤原がいなくなるのは、痛いな。


名古屋行きが不満だったのか?』


「いえ、寿退社です」


『えっ・・・』


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