sweet voice
先日、彰太から突然メールがきて、私も懇談会に参加するメンバーに入っていることを知った。


日時や会場の事務的連絡の最後に、


『花音と飲めるのを楽しみにしてるから!』


彰太らしい一言が添えられていた。


彰太はどこまでも悪気がないんだけど、少しせつなくなる私がいるのは事実。


もし彰太と結婚してたら、私は今ごろ関西で暮らしてたのかもな、とか、むなしい想像をしたりする。



そして、懇談会当日。


私は、白いブラウスに明るめのピンクベージュのスーツを着て、ネームプレートをネックストラップにぶらさげて受付に立っていた。


来客名簿には荒井さんの名前も載っていたから、例の声が聞こえるかとドキドキしながら待っていたけど、あいにくもう1つの受付に並んだようで、会えなかった。


社長や役員の挨拶が始まり、私はバックヤードに引っ込んで、ギリギリに届いたおみやげのお菓子のセッティングをしていた。


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