sweet voice
「お褒めいただき、光栄です」


「花音、終わったら一軒つきあえよ」


「いいけど、奥さんのノロケ話は聞かないからね」


「そんなんじゃねーよ」


じゃあまたな、と彰太が会場へ戻った時だった。


「遅れて申し訳ありません」


彰太を見送っていた私の背後から、声が聞こえた。




この声、間違いない。


荒井さんだ。



振り向いたら、スラッとした同い年くらいの男性が私を見ていた。


なにこれ。


めっちゃタイプなんですけど。


ダークグレーの細身スーツ、青系ストライプのYシャツ、紺のネクタイ、全部そこそこのブランドとみた。


何より、切れ長のクールな目元が、私を射抜いてしまった。


「あ、え、えっと、承ります」


「ビールはおいしかった?」


「はい?」


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