sweet voice
結局、中締めになるまで途中退席するお客様はほとんどいなくて、受付で座ってボーッとしていた。


荒井さんに恥ずかしいところを見られないように、それだけ気をつけた。


お帰りになるお客様にお菓子の入った紙袋をお渡ししながら、荒井さんが帰るのを見逃さないようにしていた。


でも、荒井さんの姿は見えなかった。


混雑しているロビーで、人混みにまぎれてしまったのかな。


後片づけを済ませ、彰太から連絡がきたのは17時すぎ。


ホテルから歩いて5分くらいの、居酒屋の個室を予約してあるって書いてあった。


なんで、わざわざ個室を予約したんだろう。


ますます、意味がわからなかった。


もしかして、よりを戻したいとか?


・・・いやいや、ありえないでしょ。


さっき会った時だって、結婚指輪してたし。


逆に、今さら謝られたりしても、困るけど。


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