sweet voice
店員さんに続いて個室に入ったら、彰太はすでに座ってた。


「ごめん、お待たせ」


「平気、俺たちもさっき着いたとこだし」


・・・なんで『俺たち』?


個室の中を見渡すと、奥の死角にこちらに背中を向けて座っている男性がいた。


その男性のスーツに見覚えがあると思った瞬間、男性が振り返って私を見た。


「えっ、なんで?」


「さっきはどうも」


荒井さんが、私を見てニヤッと笑った。


・・・これはきっと、何かの間違いだ。


私は、悪夢をみているんだ。


「なにやってんだよ花音、早く座れよ」


「し、彰太、なんで荒井さんがここにいらっしゃるんですか?」


「おまえ、しゃべり方が変だぞ」


「だって、荒井さんが来るなんて聞いてなかったから、驚いちゃって」


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