sweet voice
「ご注文お決まりでしょうか?」


店員さんに救われた。


「えっと・・・カッペリーニのセットで」


「私も同じのをお願いします」


「かしこまりました」



斜め前に座ってる彰太の左手薬指には、新しい指輪が光ってる。


ちょうど1年くらい前に、彰太が関西支店へ異動になった。


異動の内示が出たのが6月で、その時はまだつきあっていた。


異動をキッカケに、プロポーズされると期待してたのに。


まさかまさかで、異動をキッカケにフラれてしまった。


そして彰太は、関西支店の同僚とあっさり結婚してしまった。


私の存在って、何だったの?


2年半もつきあっておいて、その仕打ちってヒドくない?


茜の前で、これ以上泣けないって限界まで泣いた。


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