sweet voice
「せっかく二人きりになったのに、冷たいこと言うなよ」


だから、その声で思わせぶりなこと言わないでよ。


「いえ、どういうつもりで彰太に話したのかわかりませんが、私は荒井さんがいらっしゃるとは聞いていませんので」


「花音ちゃん、俺に興味ないんだ」


「・・・ありません」


本当は興味津々なのに、正直に言えないダメな私。


なぜかというと、急に伸二くんの顔が浮かんだから。


「俺は、花音ちゃんと二人きりでゆっくり話したいって思ってるんだけど」


「えっ?」


「まずは、連絡先教えて」


その声で頼まれたら、イヤって言えない。


荒井さんは連絡先を手書きした名刺を差し出してきて、私は催眠術にかかったみたいに、すんなり教えてしまった。


「悪い、嫁から電話」


彰太が部屋に戻ってきた時には、ギリギリ連絡先の交換が終わっていた。


あぶないあぶない、彰太に現場を見られたら何を言われるかわかんないし。


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