sweet voice
そのあとは、3人で食べて飲んで話して、お開きになった。


宿泊先のホテルへ戻る彰太と別れ、私は荒井さんと駅へ向かった。


「もう一軒つきあわない?」


「いえ、遠慮しておきます」


「意外と慎重なんだな」


「慎重っていうか、普通です。


もう遅い時間ですし、明日も予定がありますので」


本当は、何もないんだけど。


「せっかく二人きりになれたのに、もったいないと思わない?」


「思いません」


「わかった、じゃあ日を改めて」


荒井さんは、あっさりと駅構内へ進んで行き、見えなくなった。


なんだろう、この敗北感は。


何もないのに、フラれた気分だ。


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