sweet voice
「どうしよう・・・」


きっと今、私の顔にはマンガみたいに青い縦線が入っているに違いない。


しかも、スマホはこの部屋の中だ。


スマホがなければ業者に連絡がとれないし、そもそも電話番号が調べられない。


少し冷静になって考えたら、カギは会社にあるはずなんだから、高いお金を払ってカギを変えなくても、今晩どうにか乗り越えればいいってことに気がついた。


茜の家に泊まらせてもらおうと思ったけど、スマホがないと茜の電話番号がわからない。


手帳を持たないズボラな自分が情けない。


「どうするかなぁ・・・」


お財布を開けてみたら、1000円札が1枚しか入ってない。


30歳の大人が持つ財布の中身とは思えない。


これじゃあ、ネカフェで一晩過ごすこともできないじゃないか。


どんな人があの狭い個室で過ごしたかわからないから、なるべくならネカフェには行きたくない。


だけど、ビジネスホテルに一泊するほどの無駄遣いはできないし。


< 37 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop