sweet voice
「どうぞ」


「おじゃまします」


マンション10階の青いドアを開けると、シンプルすぎるほど何もない部屋だった。


テレビとソファー以外ないリビング。


「とりあえず、座れば?」


と言われたので、ソファーに座った。


奥の寝室らしき部屋に引っこんだ荒井さんは、バスタオルと着替えを持って現れた。


「シャワー浴びるなら、これ使え。


下着もあるけど、サイズわかんねーから」


着替えを見ると、明らかに女性ものの部屋着だった。


「安心しろよ、元カノの置いてったものだから」


「そうですか、モテるんですね」


「まあ、人並みには?」


「いつ別れたんですか?」


「うーん、今年の3月くらいだな。


あっ、俺にはよくわかんねーけど、化粧をおとすのもあるぞ」


「それはそれは、ご丁寧にありがとうございます」


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