sweet voice
「なんか、自分が恥ずかしいです」


「しょうがねーよ、両親は選べないし、どんな家庭環境なのかを子どもが決めるわけじゃないし。


だけど俺は、大人になったら頑張って稼いで、家族をつくりたいって思ってただけだから。


一人は楽だけど、むなしい時もあるからな」


着いたぞ、と車が停まったのは、海に近い一軒家の駐車場だった。


「ここ高いからな、覚悟しとけ」


ニヤッと笑いながら、荒井さんが一軒家に入っていった。


よく見たら、OPENという小さな看板がドアの近くにかかっていた。


「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」


「ごぶさたしてます」


「奥のテーブル席へどうぞ」


一軒家のリビングがお店になっていて、もちろん広いんだけれど、テーブルが3つとカウンター席が6つあって、ゆったりとした造りになっていた。


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