sweet voice
「俺にまかせてもらっていいか?」


「はい」


荒井さんはメニューを見せてくれないから、店内の黒板を見たら、


『伊勢海老 時価』『サザエ 時価』『おまかせ寿司 時価』


・・・って、時価しかないじゃん。


値段がわかるのは、アルコールだけだ。


現金、お財布にいくら入ってたっけ。


このお店で、クレジットカードが使えるとは思えないし。


近くにコンビニあればおろしてくるんだけど、みかけなかった気がする。


一気に背筋が寒くなり、荒井さんを見たら、店員さんに小声で注文していた。


店員さんがキッチンへ向かってから、


「荒井さん、こちらのお店は現金払いだけですか?」


恥ずかしかったけど、ささやくように聞いた。


荒井さんはニヤニヤしながら、


「カードも使えるぞ、安心して料理を楽しめ」


大人の男の顔をした。


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