sweet voice
「余計なこと話すなよ」


いつのまにか、荒井さんがトイレから戻ってきていた。


「俺は、ちょっとプッシュしただけだっつーの」


「それにしては盛り上がってたみたいだけどな」


「いいじゃんもう、また来てくれよ、な?」


「おいしかったです、ごちそうさまでした」


「またな」


「荒井、がんばれよ」


お店を出て車に戻ると、車内が暑かったから冷えるまで海を見ながら話した。


「立て替えていただいてすみません、おいくらでしたか?」


「いいよ別に」


「いえ、そういう訳にはいかないです」


「俺がおごりたい気分だからいいんだよ」


「でも・・・」


「本命の相手に、払わせるわけねーだろ」


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