sweet voice
この前は、夜だったし、飲んでたから、あまり記憶がないんだけど。


あらためて部屋を見渡すと、シンプルだけどキレイに掃除されてるし、自炊しているのか調理器具が揃っていた。


「気になるなら隅々まで見ていいけど」


「いえ、キレイにされてるんだな、と思ってるだけですから」


「なんなら、寝室も見ていいけど」


「それは結構です」


「いい年の男女が同じ部屋にいるのに、何もしない方がおかしいと思わない?」


いつのまにか、ソファーに座っている私の隣で、荒井さんはささやいていた。


「わ、私は、そういうつもりはありませんから」


「俺は本気で、おまえが好きだ。


だから、今すぐ俺だけのものにしたい。


でも、その気がない女を抱く気はないから、安心しろ」


コーヒー入れてくるな、と言って荒井さんはキッチンへ行った。


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