sweet voice
ピンポーン、と玄関チャイムが鳴り、ドアを開けると、


「おじゃましまーす」


伸二くんがニコニコしながら立っていた。


「狭いけど、どうぞ」


「ちっとも狭くないよ」


伸二くんはテーブルに買ってきた物を置くと、手を洗って戻ってきた。


「適当に分けるね」


「うん」


伸二くんはスーツを着ていたから、窮屈そうだった。


「上着、預かるよ。


部屋着、あるにはあるんだけど、どうする?」


「平気だよ、ありがとう」


「じゃ、カンパーイ」


「カンパーイ」


グラスが重なり、部屋飲みが始まった。


最初は、伸二くんが今日参加した同期会の話とか、お互いの近況とかを話していた。


「でさー、その取引先の相手がすごく感じが悪くてイラついたんだけど、反面教師にして私はあんな風に話さないぞって思ったんだよね」


< 72 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop