sweet voice
「俺がいつ失礼なことを言ったんだよ」


「言いそうだからブロックしたんです」


「あのなー、そういうおまえの方が失礼だろ」


「・・・あのう、花音さん、そろそろ降りる駅ですけど」


「あっ本当だ、では荒井さん、失礼しまーす」


「失礼します」


「どうも」


いつのまにか離れていた手をギュッと握られ、私は伸二くんと一緒に電車を降りた。


プシューッと扉が閉まる音につられて思わず振り返ると、荒井さんと視線が重なった。


なんか、怒られた子どもみたいな気分だ。


「なに食べよっか?」


伸二くんの明るい声に、我に返った。


「駅前のスーパーに行ってから決める?」


「僕に食べたいものとか聞かないの?」


「そんなにレパートリーないよ」


「凝ったものはオーダーしないよ」


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