sweet voice
『花音はさ、年下とうまくいくタイプじゃねーし』


『そんなの、彰太に言われる筋合いないじゃん』


『それにさ、荒井には事情があるんだよ、な?』


『私には彼氏がいるのに、荒井さんと会ったりしないから』


『荒井の言い分も聞いてやれよ』


『さっきから事情とか言い分とか、なんなのいったい?』


『まあまあ落ち着けよ、一度メシ食うだけでいいから』


じゃーな、と彰太は一方的に電話を切った。


彰太の言ってることは、まったく理解できない。


できないけど、そこまで言われると気になってしまう。


たまたま、伸二くんは来週から海外出張でしばらく会えない。


その間に荒井さんに会うなんて、なんか隠し事してるみたいでイヤなんだけど。


荒井さんと私の予定があえば、会おう。


電話して5コール以内に出たら、会おう。


そんな他力本願的なことを考えながら、その日の仕事を終えた。



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