sweet voice
私が参加しているボランティアサークルは、音訳といって目が不自由な人のために広報などの必要な情報を録音して配布している。


点字にしたり、大きな活字にする活動もしているけど、私にはまだ知識が足りなくて音訳しかできてない。


でも、サークルの先輩が言うには、


「花音ちゃんの声、とっても聞きやすいって評判いいのよ。


これからもよろしくね」


って、褒めてくれる。


お世辞だとわかってはいても、少しは役に立っているかと思うと、誰かに必要とされている実感がわく。


土曜日はサークル活動に没頭して終わり、日曜日はその反動で1日ダラダラして終わった。


そして、火曜日になってしまった。


朝からずっと、ソワソワして落ち着かない。


なんとか仕事を終えて、待ち合わせ場所に向かうと、荒井さんはまだ来ていなかった。


当たり前だ、まだ約束の時間まで15分もあるし。


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