sweet voice
つながれた右手も、私の好きな声が告げる話題も。


さりげなくドアを押さえてくれる大きな手も、ふとした拍子にふれる肩も。


ぜんぶ、私の心を揺さぶっていく。


「で、なんで急に俺を誘ったわけ?」


会話が途切れたのを待ち構えていたように、荒井さんは私の顔をのぞきこんで言った。


2杯目のビールがあと半分になったタイミングもほぼ一緒で。


食べ物の好みも似ていて。


どうして私は、伸二くんとつきあってるんだろう。


「えっと、それはですね、この前彰太から荒井さんのことを聞いて、食事に誘えと言われたので」


「川野、なんて言ってた?」


彰太と荒井さん、お互い呼び捨てになったんだ、なんて妙なとこに引っかかりつつも、彰太に言われたことをそのまま伝えた。


「川野、しゃべりすぎだっつーの」


一瞬で耳まで赤くなった荒井さんは、照れ隠しなのか残りのビールを一気に飲み干した。


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