sweet voice
「俺がおまえを好きになった理由はさ」


荒井さんは、真面目な顔して話し出した。


「2年くらい前かな、おまえの会社で川野と商談してた時、川野が花音ちゃんを呼んだんだよ。


で、発注データを持ってくるように頼んでさ、戻ってきた花音ちゃんは頼まれたデータだけじゃなくて商談に必要であろう資料も持ってきててさ。


できる子だな、って感心して、それから『お待たせしました』って花音ちゃんの声を聞いて、思わず顔を見たんだ。


声がすげーかわいくて、どんな顔か見たかったから。


そしたらめっちゃ俺のタイプで。


これは運命だって思って、商談終わったら声かけようって決めてたのにさ。


商談終わったら、川野は花音ちゃんと笑いながら話してて。


その雰囲気がただの同僚って感じじゃなくて、あー、こいつらデキてんだ、って速攻失恋」


・・・驚いた。


そんな前に、荒井さんと会ってたなんて。


まったく記憶にないけど。


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