いい子って何ですか?
数日後
弟たちはおばあちゃんたちのところに預けて両親と出掛けることになった。
久しぶり過ぎて、何を話していいか分からなかった。
話題は弟たちがあげるから、家族で話せていたけど、僕はそうではないから、二人といても両親はつまらないだろうと思った。
「ねぇ、匠実。
何処か行きたいところある?」
今、出る大さな声で話した。
「いつも忙しくて大変だから、お家で休んでいいよ」
出た声は、とても小さかったけど、伝わったみたいだ。
「匠実と遊びたいの」
「そうだよ、お父さんたちのことは気にしなくていいから言ってごらん」
でも、僕はいい子はわがままを言わないと思っているから言えなかった。
そうすると、ママは、
「そんなに私たちと過ごすのが嫌だったら、嫌と言いなさい」
怒られて、出づらい声が全く出なくなった。
一生懸命出そうとする度に、
息しか出なくなった。
嫌なんかじゃないと伝えたいけど、
伝わらない。
怒っているママの声で、
僕の息なんて聞こえない。
「ごめん」
ママは部屋を出ていってしまった。
お父さんもママを追いかけて、出ていってしまった。
それから、苦しくて、うまく息が出来なくなった。
少ししか息が吸えなくなった。
でも、数十分たつと収まるから、
平気なのだと思った。