今 顔を上げたら、きっと。
「で、藤本元気なの?」
「え、えーと。別れ、ました」
「マジ? いつ?」
藤本先輩、それは理世が大学三年生の頃に付き合い始めた、同じく部活の先輩の名だ。理世の一つ年上。小林からみたら一つ下の後輩。鉄平からしてみたら二つ上の先輩になる。
「半年位前ですかね」
「俺、病理居たじゃん。何で言わないの」
小林が病理部に来たのは昨年度の初め。藤本が県外の病院に行って半年程たった頃だった。
「何でって……」
理世は言いよどんで、言葉を探す。
「ほら。なんか、病理部の飲み会ってそういう話、し難いじゃないですか」
プライベートならともかく、年齢層の広い病理部の飲み会では、そんな色恋の話題は出しにくかった。だからと言って、仕事中にする話でもない。
「なんで別れたんですか?」
鉄平に問われて理世は言葉に詰まる。
何故別れたか。それもまた、理世が小林に言えなかった理由の一つだった。
「え、まぁ……。遠距離、だったし。自然消滅みたいな、そんな感じ、デス」
「え、えーと。別れ、ました」
「マジ? いつ?」
藤本先輩、それは理世が大学三年生の頃に付き合い始めた、同じく部活の先輩の名だ。理世の一つ年上。小林からみたら一つ下の後輩。鉄平からしてみたら二つ上の先輩になる。
「半年位前ですかね」
「俺、病理居たじゃん。何で言わないの」
小林が病理部に来たのは昨年度の初め。藤本が県外の病院に行って半年程たった頃だった。
「何でって……」
理世は言いよどんで、言葉を探す。
「ほら。なんか、病理部の飲み会ってそういう話、し難いじゃないですか」
プライベートならともかく、年齢層の広い病理部の飲み会では、そんな色恋の話題は出しにくかった。だからと言って、仕事中にする話でもない。
「なんで別れたんですか?」
鉄平に問われて理世は言葉に詰まる。
何故別れたか。それもまた、理世が小林に言えなかった理由の一つだった。
「え、まぁ……。遠距離、だったし。自然消滅みたいな、そんな感じ、デス」