優等生と副番長
「先生に、この学園を受けてみないか、と勧められたんだ。」
遂に僕は口にした。
母の顔がぱっと明るくなる。
「そうね!じゃあここを受けなさい。絶対よ。」
…ほら来た。
絶対受けることになるんだ。
「そうと決まったら、問題集を買わなくてはね。今から受験対策よ」
…どうしてこうなるのか。
どうして…。
「それにしても、いい先生ね。国立を紹介してくれるなんて。普通は私立を勧めるのよ。」
どうしてうちの親はこうなのか。
受験なんて…。
「問題集を買って来るから、家で待ってなさい。わあ、久しぶりの本屋だわ」
「は…い…」
僕は返事をするのが苦痛だった。
これが、受験するきっかけと、勉強が苦痛になるきっかけだった…。