優等生と副番長
僕は多分顔がにやけてるんだと思う。
恵さんともっと話したい。
恵さんのこともっと知りたい。
…塾になんか行きたくなくなっちゃった…
自分でも驚くほどの心境の変化。
今までは塾に行くことや、寄り道をせずに下校するのが普通だったのに…。
何がいけないだなんて、考えていない。
「じゃあ、あたし行くわ。またな。立山。」
笑顔で言う恵さんなみとれながら、返事をした。
「はい、また。」
「敬語じゃなくていいし!」
恵さんは、最後にそう言って僕の前からいなくなった。
僕も、昇降口へ向かった。
少しゆううつになった塾だけど、恵さんと話せたことにより、足取りも軽くなった。