晴れのち曇り ときどき溺愛
　私が戻ってきたのを確認してから、下坂さんの声で会議が始まった。会議の内容はシステム構築と営業先についてのことだった。朝の会議には私は呼ばれなかったけど、今回は皆と同じように会議に参加している。その意味は分からなかったけど、会議に出るからには少しでも理解したいと思った。

　
　今の私に出来るのは机の上にある資料を必死で読むこと。内容がどうとかは分からないけど、今から大きな仕事を請け負おうとしていて、私が今朝、集めるように言われた資料が今回の仕事には必要なのだというのも分かった。


　資料を準備するのに与えられた三日という時間が最大限に譲歩されたものであり、その資料がないと先には進めないというのが分かると、見城さんの眉間の皺の意味も分かった。私が資料を集めている間にほかの人は各方面からの準備を始めていた。それを束ねる下坂さんは真剣な表情を浮かべたままで、見城さんと同じような皺も見えた。


「諸住さん。今朝、頼んだものはどのくらい出来ている？」

「パソコンへの資料の打ち込みは半分くらいは終わっています。パソコンの中の資料はフォルダを作成し、プリントアウトとファイリングまでは終わりました。資料室にある資料集めはまだ終わってません」

「三日で終わるか？」

「資料室にある資料のコピーが思ったよりも時間が掛かりそうですが、頑張ります」

「期限内に難しいと思ったらすぐに言うこと。誰か手の空いているものに手伝わせるから」


「わかりました」
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