晴れのち曇り ときどき溺愛
「お疲れ様です」
私は下坂さんが入ってきたのを見てドキッとしてしまった。どこかの得意先に行っていたのか、手には銀色のアタッシュケースを持ち、部屋に入ってくるなりネクタイを緩め、スーツの上着も脱ぎ、部屋の壁にあるハンガーに無造作に掛けた。
下坂さんは部屋の中を見回し、私の横にある空いている席を見てニッコリと笑った。
「俺の席ってそこ?この席ってお誕生日席だよね。今日は諸住さんの方がいいから代わろうか?」
「ご遠慮します。室長が座られてください」
「遠慮しなくていいのに。あ、来る時に乾杯のビールは頼んできた」
下坂さんは空いているお誕生日席に座ると直ぐに足を崩した。そして、横に居る私に『お疲れ』とまたニッコリと笑う。砕けた雰囲気はなんなんだろう。一緒の時間を過ごせば過ごすほど下坂さんと言う人が分からなくなる。
部屋に届けられたビール瓶が目の前に置かれたから手にとって、下坂さんのグラスに注ごうとしたら、下坂さんがそれを取り上げ、逆に私のグラスに注ごうとする。先に上司に注いで貰うなんて今までなかったことだから身体の汗腺が一気に開くかと思うくらいに焦った。
「あの、私が先に注ぎます」
「いいって。ウチの課は飲み会に上下関係はない。ちなみに俺はビールを注ぐのがかなり得意だ。ビールは飲めるだろ」
「でも…」
「冷えてるうちに飲みたいから大人しく注がれとけ」
私は下坂さんが入ってきたのを見てドキッとしてしまった。どこかの得意先に行っていたのか、手には銀色のアタッシュケースを持ち、部屋に入ってくるなりネクタイを緩め、スーツの上着も脱ぎ、部屋の壁にあるハンガーに無造作に掛けた。
下坂さんは部屋の中を見回し、私の横にある空いている席を見てニッコリと笑った。
「俺の席ってそこ?この席ってお誕生日席だよね。今日は諸住さんの方がいいから代わろうか?」
「ご遠慮します。室長が座られてください」
「遠慮しなくていいのに。あ、来る時に乾杯のビールは頼んできた」
下坂さんは空いているお誕生日席に座ると直ぐに足を崩した。そして、横に居る私に『お疲れ』とまたニッコリと笑う。砕けた雰囲気はなんなんだろう。一緒の時間を過ごせば過ごすほど下坂さんと言う人が分からなくなる。
部屋に届けられたビール瓶が目の前に置かれたから手にとって、下坂さんのグラスに注ごうとしたら、下坂さんがそれを取り上げ、逆に私のグラスに注ごうとする。先に上司に注いで貰うなんて今までなかったことだから身体の汗腺が一気に開くかと思うくらいに焦った。
「あの、私が先に注ぎます」
「いいって。ウチの課は飲み会に上下関係はない。ちなみに俺はビールを注ぐのがかなり得意だ。ビールは飲めるだろ」
「でも…」
「冷えてるうちに飲みたいから大人しく注がれとけ」