晴れのち曇り ときどき溺愛
ファッション誌から飛び出してきたかの風貌に言葉を失いかけた。『綺麗』という言葉がぴったりの彼は私に微笑み掛けている。
これだけ容姿に恵まれていれば、私が断らなくても彼の方から断ってくれる。『彼も玲奈と同じように、ここに義理を果たしにきているだけ』だと分かった。緊張して望んだお見合いも蓋を開ければお互いに本気ではないものだった。これは何もしないでいいと心から嬉しく思った。
「五条玲奈です。よろしくお願いします」
「……進藤隆二です。今日はよろしくお願いします。では行きましょうか」
柔らかいソファから立ち上がって、ゆっくりと彼の目の前に立つと、下から見上げたよりも目の前に立つ方が彼の背の高さが際立っている。綺麗な顔を彩るまつ毛が長くてズルい…なんてことを考えてしまう。そして、私は一瞬、自分の本分を言い忘れたことを思い出した。生理的に合わないということで逃げるというミッションを私は見逃してしまった。
『すみません。今日は朝から体調が悪くお約束していて申し訳ないのですが、これでお暇させてください』
これが何度も練習した台詞だった。
これだけ容姿に恵まれていれば、私が断らなくても彼の方から断ってくれる。『彼も玲奈と同じように、ここに義理を果たしにきているだけ』だと分かった。緊張して望んだお見合いも蓋を開ければお互いに本気ではないものだった。これは何もしないでいいと心から嬉しく思った。
「五条玲奈です。よろしくお願いします」
「……進藤隆二です。今日はよろしくお願いします。では行きましょうか」
柔らかいソファから立ち上がって、ゆっくりと彼の目の前に立つと、下から見上げたよりも目の前に立つ方が彼の背の高さが際立っている。綺麗な顔を彩るまつ毛が長くてズルい…なんてことを考えてしまう。そして、私は一瞬、自分の本分を言い忘れたことを思い出した。生理的に合わないということで逃げるというミッションを私は見逃してしまった。
『すみません。今日は朝から体調が悪くお約束していて申し訳ないのですが、これでお暇させてください』
これが何度も練習した台詞だった。