晴れのち曇り ときどき溺愛
「俺は日本酒のお代わり。諸住さんはどうする?」

 
 下坂さんはメニューも見ずに斉藤さんに言う。私は…もういいかなって思っていた。酎ハイのレモンから始まって、話をしながら数杯の酎ハイやカクテルを飲んでいる。それに、この後、終わったら琉生に会わないといけないのを思い出した。


 素面かもしれない琉生の前で酔って動けなくなるわけにはいかない。まあ、琉生のことだから、私のマンションまで送ってくれるのは間違いないとは思うけど…。


「烏龍茶にします」


 私がそういうと、斉藤さんはメニューをパラパラと捲りだして、最後の方のページを開いた。そこには彩りが絶妙なデザートの数々が並んでいる。


「烏龍茶は了解。で、デザートはどうする?このコースは簡単なデザートしかついてないから頼むなら、俺も一緒に頼もうと思って」


 今回の飲み会のコースには小さなシャーベットが付いている。でも、メニューを見ながら、斉藤さんが指差したのは小さなケーキやフルーツなどが乗ったデザートプレートだった。この歓迎会の前にカフェでタルトを一個半も食べているのに食べる気満々で目はキラキラ輝いている。


「女の子はデザートは別腹だよね」


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