晴れのち曇り ときどき溺愛
 琉生と会うのは決まって仕事帰りだった。カジュアル感たっぷりの姿を見ると完全にプライベートだなって思う。琉生が一度家に帰ったにも関わらず迎えに来るとは思わなかった。


 週末ならともかく今日は火曜日。明日も仕事がある。


 私が送ったメールは見てなかったのだろうか?もしもメールが入れ違ったのなら、せめてどこかで待っていてくれたら、その場に行くのにと思った。一度帰って着替えをしてからまた出てくるほどの用事というのは何なのだろう。そんなに緊急の内容があったのだろうか?明日ではダメだったのだろうか?


 酔いの少し回った頭では色々な思い浮かぶ。

 歓迎会で私以外の人は凄い勢いでお酒を飲むからつられて少し飲み過ぎている。最後に飲んだ烏龍茶では酔いはまだ醒めない。


 下坂さんはいきなり現れた琉生に驚くこともなく微笑みを浮かべていた。


「君は…確か」


「諸住さんの同期の川添琉生です。下坂室長は覚えていらっしゃらないかもしれませんが、先日、居酒屋で梨佳と飲んでいた時に会いましたよね。今日も梨佳は俺がきちんとマンションまで送りますので大丈夫です」
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