晴れのち曇り ときどき溺愛
「一度自分の部屋に帰って着替えをして梨佳の歓迎会の近くまで行こうと思って部屋を出た瞬間に拳からのメールがきた。仕事の件らしい。拳が俺に仕事関係でメールしてくるなんて珍しいだろ」


　業績は順調だと言っていたのに仕事の件で話があるとなると琉生でなくても心配になる。


「確かに珍しい。私達の会社が合併という時に、私も琉生にも自分の会社に来ないかといってくれたくらいなのに。そんなに業績に響いているの？取引に失敗したとか？」


「俺の口からではなく、拳の口から聞いた方がいい」


　琉生は近くの店で拳と飲んでいたらしく私が終わった時間を見越して迎えに来たらしい。琉生に連れられて行った店にはジャズが流れ、一番奥の席に拳は座っていた。手には水割りらしきものが入った琥珀色のグラスがあった。


「梨佳。久しぶり。元気にしてたか？」

「私は元気よ。拳も元気だった？」

「俺か…。うーん。まあ、元気かな。困ったことをこれからどう切り抜けようかと心配だけど」


　多分、この困ったことと言うのは仕事がらみで拳の一番困っているものだろう。
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