晴れのち曇り ときどき溺愛
最後に拳に会ったのは会社が合併する前で琉生が飲みたいと言い出して皆を集めたのだった。拳は仕事が忙しいと言いながら遅れるけど必ずどんな同期の集まりには顔を出してくれた。プライドは高く、人を寄せ付けないような雰囲気なのに私達には優しい。
今まで仕事の面ではかなり順調だった拳に何があったのだろう。誰にも相談しないで決める拳が琉生に仕事のことを愚痴るということは珍しいことだった。
「梨佳。何を飲む?」
「拳は水割り?」
「ああ。今日はロックとか飲んでたら、明日が仕事にならない」
丸いテーブルの空いている席に座った私に琉生はメニュー表を手渡してきた。さっきまで歓迎会で飲んできていたからお酒はやめようと思ったけど、拳の様子を見ていたら、少し飲みながらの方がいいと思った。
「杏酒のソーダ割りにする。見た目似てるよね」
「味は全く違うが」
杏酒は果実の味がギュッと詰まっている華やかで優しい味もので私は梅酒も好きだけど、杏露酒もよく飲む。でも、拳の飲んでいる水割りのウィスキーの苦さを美味しいとは思えない。
「琉生は何を飲んでるの?」
「俺も水割り」
今まで仕事の面ではかなり順調だった拳に何があったのだろう。誰にも相談しないで決める拳が琉生に仕事のことを愚痴るということは珍しいことだった。
「梨佳。何を飲む?」
「拳は水割り?」
「ああ。今日はロックとか飲んでたら、明日が仕事にならない」
丸いテーブルの空いている席に座った私に琉生はメニュー表を手渡してきた。さっきまで歓迎会で飲んできていたからお酒はやめようと思ったけど、拳の様子を見ていたら、少し飲みながらの方がいいと思った。
「杏酒のソーダ割りにする。見た目似てるよね」
「味は全く違うが」
杏酒は果実の味がギュッと詰まっている華やかで優しい味もので私は梅酒も好きだけど、杏露酒もよく飲む。でも、拳の飲んでいる水割りのウィスキーの苦さを美味しいとは思えない。
「琉生は何を飲んでるの?」
「俺も水割り」