晴れのち曇り ときどき溺愛
「話したくないならいい。でも、溜め息の理由の男と一緒に仕事していると心配になる。梨佳は不器用過ぎる。でも、そんな梨佳を俺は放っておくなんて出来ない」

「だから、今日は来てくれたの?」

「それもある。でも、一番の理由は俺の気持ち。ずっと梨佳が隣にいて、それが当たり前だと思っていた。でも、それが当たり前で無くなった時にいつでも助けてあげられないと焦った。拳が独立して、遥は結婚後、妊娠。俺に残ったのは梨佳だけだった。梨佳もいつか遥のように幸せになれるだろうけど、それまでは同期としてずっと困った時に傍に居たいと思っていた」


 拳のいう通り過保護だけど大事に思ってくれる気持ちはやっぱり嬉しい。同じ会社で一緒に並んで働くということさえ簡単に壊れてしまった。琉生のように新規開拓は出来なかったけど、私は既存の取引先からの営業を頑張っていたと思う。成績を残し、自分の仕事に自信も持っていた。でも、今、新しい部署で私はスタートに立っている。


「また、いつかどこかで琉生の横に並べれるように頑張る。今の部署は本当に大変だけど、負けたくない」

「俺も、梨佳と一緒にまた働いた時に『全く変わってない』とは言われたくない」
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