晴れのち曇り ときどき溺愛
「今日はありがとう。琉生と拳に会えてよかった。まだ、私は頑張れる」

「それでこそ、諸住梨佳だな。俺も頑張る」


 駅まで一緒に行き、私のマンションの前まで琉生は送ってくれ、今から酔い覚ましに歩きながら帰るという。そんなところは琉生らしい。


「キツくなったらタクシーに乗るから大丈夫。明日も仕事だし。じゃ、またな」

「うん。ありがとう。送ってくれて」


 自分の部屋で一人になると琉生と拳と色々話したのがよかったのかすぐに寝れそうだった。携帯の充電だけして寝ようと思ったらメールが着信されてあった。差出人は下坂さんだった。


 部下に対するメールで私だけでなく一斉に送信されてある。


『今日はお疲れ様。急で悪いが、明日の朝に会議を行う。始業時間の30分前から始めるのでそれまでに出社するように』


 そして、もう一通。これは私のみに送信されてあった。


『お疲れ様。色々なことで困ることもあると思うから、自分の中に溜めこまずに何でも相談して欲しい。私に相談しにくい時には、他の誰でもいい。それときちんと帰りつけただろうかと少しだけ心配した。おやすみ』


 琉生が迎えに来た時には何とも言わなかったのに、下坂さんは私のことを心配してくれていた。それは単なる部下に対するものだと分かっている。


『無事に帰りつきました。明日の会議には遅れずに出席します。今日は本当にありがとうございました』
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